近年、コンビニエンスストアを含むさまざまな店舗で、ペットボトルを使った飲料の販売が増えています。これにより、大量のペットボトルが消費され、その再利用方法について考える人が増えています。
本記事では、ペットボトルを安全に溶解して再利用する方法と、その際に気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。
ペットボトルが変形する温度とその影響
ペットボトルはポリエチレンテレフタレート（PET）製で、この材質は約80度セルシウスで軟化し始めます。完全に溶け流れ出す温度は、約250度セルシウスから260度セルシウスです。
この温度帯に達するとペットボトルは原形を保てず、溶解してリサイクルや再加工が行える状態になります。
日常生活でこれほどの高温に晒されることは少ないですが、火のそばにペットボトルを置くと形が崩れたり有害な化学物質が発生する危険がありますので、注意が必要です。
ペットボトルの安全な再利用方法
家庭でペットボトルを溶解して再利用することはお勧めできません。
高温での加工中に有害なガスが発生する恐れがあり、専門的な設備が必要とされます。しかし、安全にペットボトルを再利用する方法はいくつか存在します。
リサイクルセンターでの再処理
リサイクルセンターでは、ペットボトルを細かく砕き、洗浄した後、加熱処理をして新しいプラスチック製品の材料として再利用します。
家庭でのクリエイティブな活用
ペットボトルを溶かすことなく、自宅で簡単にできる手工芸プロジェクトに使えます。例えば、植木鉢や小物入れ、装飾品を作ることができます。
教育プログラムでの利用
教育的なプロジェクトやプログラムでペットボトルを使用し、リサイクルの大切さを子供たちに教えることができます。
これは彼らに実際のリサイクルプロセスを学ばせる良い機会となります。
園芸での再利用
ペットボトルを切り分けて、植物の水やりシステムや小型の温室として活用することもできます。これは環境にやさしく、実用的なリサイクル方法です。
このようにして、ペットボトルを加熱せずに物理的に形を変えて再利用することで、資源を有効活用し、環境保護にも貢献することができます。
ペットボトルの焼却が環境に及ぼす影響
ペットボトルはプラスチック製ですが、その焼却が環境問題を必ずしも引き起こすわけではありません。
PETボトルリサイクル推進協議会によると、ペットボトルの主要素材であるポリエチレンテレフタレート（PET）は焼却時にダイオキシンなどの有害物質を放出せず、焼却炉へのダメージもありません。
近年、焼却による炉の損傷が減少しており、PETボトルが原因で問題が生じた例は報告されていません。
PETは燃焼カロリーが他の高カロリーのプラスチック素材と比べて低く、約5,500kcal/kgです。また、構成元素が炭素、酸素、水素のみであるため、環境への悪影響が少ないのが特長です。
ペットボトルの加熱による溶解と再形成
一般にはペットボトルを加熱することで形を変えて再利用できると考えられがちですが、実際には家庭での実施は難しいです。
ペットボトルを溶かすには約260℃の高温が必要で、通常の家庭用設備ではペットボトルを完全に溶解させることは不可能です。高温で加熱してもペットボトルは変形するだけで溶けることはありません。
ポリエチレンテレフタレートはその高い耐熱性により、繊維や包装材としても広く利用されています。
これらの用途では、専門的な処理と設備が必要であり、安全に再利用するためには適切な管理が求められます。
まとめ
ペットボトルは広く利用されていますが、その形を変えての再利用は技術的な課題を伴います。一般的には、ペットボトルを液体を入れる容器として再利用するのが最も安全であり、広く行われています。
また、ペットボトルのリサイクルシステムも整っており、キャップの回収や家庭及び企業における分別が一般的に行われています。
「PETボトルリサイクル推進協議会」によれば、ペットボトルのリサイクルには二つの主な方法が存在します。
最初の方法は「水平リサイクル」として知られ、これは使用済みペットボトルを粉砕してから、新しいペットボトルへと再形成する手法です。この方法により、ペットボトルの素材がペットボトルとして再び使用されます。
二番目の方法は「カスケードリサイクル」と呼ばれ、使用済みペットボトルからランドセルやフロアマット、ペットボトル回収ボックスといった様々な製品を製造する手法です。これにより、ペットボトルが全く新しい用途で利用されることになります。
これらのリサイクル製品には「PETボトル再利用品」マークが付けられており、消費者はこのマークを目印にリサイクルされた製品を識別することができます。このマークを探すことは、リサイクルへの参加を促す興味深い方法です。
